 セマナサンタ行列
|
日本の「盆」と同じく日が前後するが、概して3月キリストの死と復活を偲び「セマナ・サンタ(聖週間)」が設けられている。各自治体と市民が一丸となって開催。行事の内容は聖音楽、コンサート、サエタ(歌の種類、とくにセマナ・サンタに歌われる)やコプラ(歌)などがあるが、すべて宗教的性格を持つものである。この期間を通して宗教観とフラメンコ的情熱が最高潮に達する。
セマナ・サンタはスペインでは重要な意味を持つ行事だ。ほぼ1週間にわたってキリストの情熱 ('苦悩') を回顧するのだが、最も大きなテーマは死と復活だ。この行事はどんなに小さな村にでも存在し、その参加は大きな意味を持つ。またサエタやキリストとマリアへの賛歌も欠かせないものだ。
前述のとおり通常は3月の末に開催されるが、その前に行われるカーニバルの日付によって多少前後する。通常、カーニバルを終わりを告げるとともに四旬節の始まりを告げる「灰の水曜日」から40日後にセマナサンタが始まる。聖木曜・金曜・土曜日とキリスト復活日となる日曜日だ。
プロセシオン(聖行列)が町や村の道路、広場を縦断するのは、この日付だ。その主人公となるのは「パソ」。「パソ」とは聖マリアや聖キリスト、また「ラ・パシオン」の主人公の像、絵画や彫刻を指す。これらの「パソ」は花とロウソクで飾られた可動祭壇に通常保管されているが、芸術的に大きな価値を有し、数世紀の歴史を持つものが多い。
パソの特徴はその重量だ。その重たさにもかかわらず、信者は教会から肩に担いで運び出し、町へと繰り出す。パソを担がない信者たちはパソの後ろに列をなし、サエタやコプラを歌い、祈りを捧げる。そしてカルバリオ山へのキリストの辿った道を歩く。ちなみにキリストはこのカルバリオ山で磔(はりつけ)になった。
 セマナサンタの苦行
|
他にもプロセシオンに因んだ行事がある。パロのオークションがそのひとつだ。通常はプロセシオンへの参加は信仰心を意味する。
スペインの多くの地域ではプロセシオンはいろいろなバリエーションを持つ。例を挙げればクエンカでは「ラス・トュルバス」と呼ばれるプロセシオンがある。「ラス・トュルバス」はキリストがカルバリオ山に運ばれる際に受けた中傷の言葉(裏切り者)だが、これがクラリネットと太鼓の演奏によって表現される。エリン(アルバセテ)では2万人にも及ぶ奏者が太鼓を聖木曜日を演出する。
サエタ
サエタとセマナ・サンタは深い関わりを持つ。現在ではフラメンコのパロ(曲調の1種)となっており、アンダルシアの行事には欠かせないものだ。よって宗教的な性格を強く持ち、信仰心を表すために、行列の途中で立ち止まり歌うものだ。
8音節の4、5行にわたる曲で聖マリアとキリストへの信仰心をあわらす宗教的な意味合いの強いものだ。概してシギリージャ、マルティネテのかたち、また場合によってはカニャス、ポロ、ソレアでも演奏される。その荘厳さからパロにあわせて、あるいはセマナ・サンタではおなじみの太鼓やラッパのリズムに合わせて伴奏なしに演奏される。 サエタを歌うラ・ニーニャ・デ・ロス・ペイネス
|
現在のサエタの起源は修道会の修道士たちが16、17世紀のセマナ・サンタで歌っていたもの。これが18世紀になると宗教的色合いを少し薄め、一般市民にとってもっと身近なものとなる。
1880年ごろには現在著名なフラメンコのカンタオーレ(歌い手)の台頭に伴って、サエタはフラメンコ的な特徴を有するようになった。カディス、セビージャ、ヘレスがその起源とされている。マヌエル・センテノをフラメンコ調サエタの創始者とする研究家もいるが、 ドン・アントニオ・チャコンやマヌエル・トレ、ラ・セラナもその貢献者だ。
エル・グロリア、ラ・ニーニャ・デ・ロス・ペイネス 、マヌエル・バジェホ、マヌエル・トレ、トマス・パボン、ラ・ニーニャ・デ・ラ・アルファルファがサエタの有名どころだ。
アンダルシア地方のセマナ・サンタではサエタはプロセシオンから独立している。コンクール、スクール、リサイタルなど数多くの催しが行われるからだ。特にヘレス・デ・ラ・フロンテラではサエタおよびサエタ会の活発な活動で有名だ。
サエタ(抜粋)
コルドバのサエタ:
-キリストを磔にした鋲無しの釘はなかなか貫通しないので、何度も何度も打ちつけられた
-聖マリアの涙は地面に落ちていった
その1つ1つの涙からバラが咲き、真珠が生まれた
セビージャのサエタ :
-太鼓を叩け、トランペットをやさしく吹け
見よ、主の力を
ゆっくりと歩いていらっしゃる
ヒタノ(ジプシー)たちよ、主に注目しろ
アントニオ・マチャド:
-声が聞こえた・・・十字架にのぼり、キリストの釘を抜くのに誰が梯子をかしてくれるのか?
|