 「Flamenco @」のレッスン風景
|
フラメンコが国境と壁を越える。物理的な意味だけではない。歴史ある世界的芸術フラメンコはテラピーの効能も持っていた。オーストラリア出身のディーン・ワトソンが発足およびディレクターを担当する「Flamenco @」は、その好例。聴く・歌う・表現する・動くことを通じて、若きダウン症患者らの可能性を広げ、強化するのには最適の素晴らしい企画だ。
ディーン・ワトソンは幼少からその芸術才能で抜きん出ていた。若干11歳にして、すでに若者の劇団の発足者グループ「2 til 5(2から5までの意)」の一員となった。劇団を続けながらもオーストラリア国立バレエ団にての勉学を続け、卒業と同時にエル・グイト、シロ、マノロ・マリンのもとでフラメンコを始めた。オーストラリアでは、アントニオ・バルガスフラメンコダンスシアターやダンスカンパニー「フラメンコダンシング」の一員としてフラメンコバイラオールの経歴を持つ。現在ではオーストラリアチャンバーオーケストラの芸術経理部門を担当している。
エスフラメンコ・コムはディーン・ワトソンのインタビューを通し、「Flamenco @」にアプローチ。これは患者のテラピーとしての効能のみならず、世界的芸術の評を博するフラメンコのさらなる普及効果が期待されている。
「Flamenco @」とは?その目的は?
若きダウン症患者にとっての吉報。フラメンコ音楽や振り付けのワークショップなどを彼らに提供している。これはプロフェッショナルレベルで、動きや機構能力、踊り、クリエイティブな表現法を教えるものだ。目的は参加者が音楽・バイレを正しく評価し、動き・クリエイティブな環境に自分を集中させる方法を習得すること。目的は参加者が音楽・バイレを正しく評価し、動き・クリエイティブな環境に自分を集中させる方法を習得すること。. |
こうしたことすべてが自己評価を高め、自分への信頼につながる。これは若きダウン症患者にとってとても重要なこと。そして忘れてはならないのが、芸術との関わりの少ない子供たちにとっては、非常に貴重な芸術経験であるということだ。さらには障害の問題や芸術的観点からも、市民の意識向上に重要な役割を果たしている。
フラメンコが子供たちのテラピーとなりうるという発想はどうやって生まれた?
私はシドニーで、ニューサウスウェールズダウン症協会とコラボレーションしているし、様々な芸術団体から構成される委員会の委員でもある。当委員会は国際障害者の日を祝うため招集され、そこからアイデアが生まれた。私の担当はバイレだったが、ここ4年で構想はほぼ固まった。
 若きダウン症患者たちがバイレを学ぶ
|
多くの人々が「Flamenco @」構想に参画している。ここには多くの経験や知識が活かされている。サラ・バラスとマドリッドのダウン症財団、ボストンバレエ団のプログラム「ダンサ・アダプタダ」、バルセロナのGelabert Azzopardi カンパニーによる「Los Pies de Arturo(アルトゥーロの足の意)」、セビージャはダンサ・モビーレのメソッドと振付などなど。
「Flamenco @」のターゲットは?
バイレに関心をもつ全ての若きダウン症患者たち。各ワークショップの構成員は6~8人。私はバイレの教師を務めているが、授業には私の友人でもあるフラメンコギタリスト、グレゴリオ・アルフォンセッティも参画している。時には自分の授業に他のバイレ講師が参加してくれることが望ましい、彼が障害を持つ人々を対象としたレッスンを行ううえで、いい刺激になると思うから。
レッスンのメソッドと発展は?
1レッスンは1時間半。またレッスンの準備には数週間かかる。当初の目的は、楽しい時を過ごすこと。このワークショップに先立ってすでに顔見知りのメンバーもあるようだが、私としては授業の始まる1・2週間前に顔合わせをするのが望ましいと思う。この顔合わせでことはすでに動き出している、つまりはフラメンコを聴き、踊りはじめるようになる。こうして実際のレッスン開始前になにかを習得していくんだ。
 ディーン・ワトソンによるレッスン
|
各々のレッスンの中で生徒は振り付けを学ぶ。これに先立ち、教師陣が分かりやすくコンテンポラリーフラメンコバイレの歴史についての概略やレッスン当日に学ぶリズムの説明を行う(CD教材の使用も含む)。
ディーンと音楽家群によってアンフォーマルなかたちで始められるワークショップは、その後歌、ギター、バイレなどのそれぞれの音楽的要素に分けられ、パルマ、足の動きを通してリズムを学ぶ。バイレのセクションも同じアプローチで行われる。
生徒たちが自信を持つようになると、家族や友人など外部の観衆に対し、積極的に自分の上達を伝えようとする。ここで2つのグループが発生する。片方が踊ると、もう片方はパルマのリズムで拍子をとる。さらに自信のある生徒たちは、自分なりのイメージで踊り、カンテ、パルマに取り組む。これがクリエイティブな表現と演出につながる。
私は授業の最初から最後までにわたり、多くのことを話す。プロ意識をもって講義しているが、質問があれば途中で中断するように生徒たちを奨励している。こうして1日たった頃には、お互いをよく知るようになる。笑ったり、冗談を言ったりしているよ。
なぜフラメンコ?子供たちの表現力を上達させる何かがあるとか?
フラメンコはこういうタイプの表現のレッスンには最適。フラメンコは表現のレッスンには最適。こちらから何も促さなくても、臆することなく自由に自分を表現するんだ. |
こちらから何も促さなくても、子供たちは臆することなく自由に自分を表現するんだ。周知のとおりフラメンコは非常に内的なもので、バレエとは対照的に、 全員が同じ動きをする必要はない。誰かが、右手ではなく左手をあげたとしても、また違ったほうに視線を向けたとしても、さほど問題ではない。
授業ではまずは上体の動きとリズムに注目する。足の動きの練習にはそれほど重きを置かない。フラメンコバイレは、「地に足のついた」というイメージが私にはある。生徒たちが上体を精一杯に伸ばしながら床との接触を感じてくれるのがうれしい。生徒とナマの音楽のあいだの相互作用は、非常に大切だ。
つい最近、ニュージーランドへ行き、エバ・ジェルバブエナカンパニーの舞台、EVAを見た。エバはとても綺麗だった。こういう質の高い、堅実なアーティストをみると、うれしくなる。これこそが私が生徒たちに伝えたい感情。いつも何かを学んでいるという考え方が好きなんだ。
レッスンの成果は?難しいことって?教師として、音楽家として、生徒として・・・
レッスンは大成功。みんな大満足だった。生徒、その家族、この活動に参画している人々など、全員がこれを恒例の行事にしようと言いだした。
困難だったことも、授業においては特に何もなかった。すべて大満足。しいてひとつ難点といえば、運営上の問題、たとえば財政上のこと、パンフレット・ダイレクトメールづくり、電話など。複数のレッスンをとった生徒はすぐに疲れてしまったりするが、それも悪くない。何かに向かって進むためのエネルギーやインスピレーションを得ることができただけでも、十分価値がある。
「Flamenco @」についてのさらに詳しいインフォメーションは、
ディーン・ワトソン氏 メールdean.watson@aco.com.au まで
|